新型コロナによる影響を踏まえた東証の上場審査における対応方針

経営管理
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東証から本日2020年3月18日付けで、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応方針の概要、というドキュメントが出ております。

上場審査準備中の企業に対して、直近のコロナによる影響を加味した対応のリクエスト文書と読み解けばいいかと思います。一部状況を考慮してくれる部分もある感じの内容です。

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【対応方針の概要】

<上場審査>
⚫ 「企業の継続性及び収益性等」:新型コロナウイルス感染症の影響が事業計画に適切に反映
されているかどうかを審査(一時的な業績悪化は勘案して審査)
⚫ 「企業内容等の開示の適正性」:新型コロナウイルス感染症の影響が適切に開示書類(リス
ク情報・業績予想等)に反映されているかどうかを審査
⚫ 「限定付適正意見」:実地棚卸の立会や事業所の往査が困難な場合における申請直前期の限
定付適正意見を容認(※)
⚫ 「再審査時の審査料」:新型コロナウイルス感染症の影響で上場承認に至らなかった場合の
再審査料は免除

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応方針の概要 https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000004mc80-att/nlsgeu000004mcaw.pdf

要約すると以下のようになるかと思います。

  • 業績悪化は織り込んで事業計画を立てて欲しい。それが一時的なものであれば考慮する
  • 重要なリスクに織り込んで欲しい(体制の話なのか、業績の話なのか不明)
  • 監査法人対応で無理しなくてもいい
  • 感染症影響で上場承認とならなかった場合は、再審査料免除

謎なのはSaaSにおいては、以下の事象をどう捉えられるのかでしょうか。

  • 一時的な業績悪化というのは、一時的なトップラインの伸びの鈍化も考慮対象としていいのか?(SaaSの場合、販売量減少という影響よりは、基本的に新規獲得の鈍化となる)

上場申請期のスタートアップで起きている状況

SaaS系のスタートアップがメインにはなりますが、主に今起きている状況は以下のようなものだと思います。

展示会の中止に伴うリードの想定未達

多くのSaaS系スタートアップがそうだと思いますが、昨今のイベント自粛の影響はもろリードの想定未達を起こしていると思います。

当然リード数が不足するということは、QL(Qualified Lead) / SQL(Sales Qualified Lead)も減少していきます。

結果としてNew CV数が不足してトップラインが予算に対して未達となっているケースが多くなる気がします。さて、これはどう東証は評価してくれるんですかね。。

Web CPAの悪化

当然展示会等が中止になってリード不足+展示会予算が余ってきます。そうするとどこに到るかといえば一般的にはWeb Ads系の予算増加に踏み切ります。

結果各社がWeb Adsを増加しているようで、CPAが全体的に悪化してきている気がします。CPAの悪化はCACの悪化を当然呼び起こしますので難しい状況ですが、リードなしではFS部隊の稼働も落ちますしNew CVも立たず会社としての成長も止まってしまいます。

結果各社わかっていてもCPAの悪化を受け入れている気がします。

ポテンシャルユーザの購買意欲低下によるCVR低下

当然各社不要不朽の予算は先延ばしにし始めています。

その結果、改善系のSaaS・growth up系のSaaS共にCVRが低下しているような気がします。

伸びてるのは、テレワーク助成金等が対象になるスタートアップで予算売上をうまく使っているところくらいでしょうか?250万助成金で助成率100%という緊急予算的なものです。

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金|東京しごと財団 雇用環境整備事業

ただ、このタイプで伸ばすやり方は反動(助成金が多分来年は切れるので)で来期のチャーンが膨らみそうな気もします。

まとめ

本日だけでも上場承認の取消が3件ありました。うち2件はファンド案件であり、リターンが見込めないので取り下げたものでしょうが、今後上場ゴール案件は取下増加が見込まれます。

このタイミングだからこそ、本来は筋肉質な組織体制にするべきなのでしょうが、どうしても上場申請期に入っている会社はそうもいかないのも実情でしょう。

こういう場合に監査法人は当然役に立たないので、証券会社と相談しつつ、自社の中長期での企業価値向上に何が今打つべき手立てなのかを考える必要もありそうです。

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