今回はプログラミングとは全く関係ないのですが、私の大好きなスタートアップに関してどうしてもまとめて記事にしておきたい内容が発生したので、何回かに分けてエクイティ調達の本質という内容で書いていきたいと思っています。
タイトルを見て、エクイティ調達の手法やコツなんかを期待してもらっても、それとは大きく異なる内容なので、事前に宣言しておきます。
今回はCFOやIPO関係をやられている方に向けて、自分が思うエクイティ調達の本来的な意味(調達資金でどうこうするって話やどうやって調達するって話ではなく)を少し記事にしていきたいと思います。
別にこの記事が全て正解だとも思っていませんし、いろいろな見解があっていい部分だとは思っていますが、あくまで個人的にどうしても言いたくなる案件にヒットしたために一つ記事化したいと思った次第です。文字ばかりの記事で読みにくいかと思いますが、ご容赦ください。
エクイティ調達(エクイティファイナンス)とは
今回テーマにさせていただいたエクイティ調達とはなんでしょうか?そんなもん誰でも知ってるわって言われるかもしれませんが、まずは企業の行動として何をしているのかをちゃんと把握するところから始めます。
行為面から日本語にしてみると、企業が新株を発行して資金を調達することです。もちろんこの定義も間違ってるわけではありません。法律的にも正しい言葉使いだとは思います。
ただ、この発行って言葉が個人的には本質をわかりにくくしていると考えており、個人的には本質は以下だと考えています。
個人的に思う本質は経済活動とした面でいくと自社の株式を誰かに買ってもらうこと、要は自社の一部を購入してもらう行為だと理解すべきだと。
発行じゃなくて購入してもらう(販売行為)と考えると何が違ってくるのか?
発行と販売って何が違うのでしょうか?個人的に思う最大の違いは以下です。
要は相手に買って価値のある商品(自社の株が)だと認識してもらうために、どうするかを考えるのがエクイティファイナンスだと考えています。
エクイティファイナンスを、一般の商品販売と比較するとどうなる?
それでは、当たり前に一般ビジネスでやっている販売行為と比較してエクイティファイナンスを考えてみます。
一般販売 | エクイティファイナンス | |
販売するもの | 自社が取り扱うプロダクト | 企業自体(プロダクト・チーム・歴史・将来性 etc) |
提供価値 | 購入者の課題解決 | 購入者の経済的価値の増加 (株価の増加or 提携等によるシナジーメリット) |
価格 | プロダクト価格 | 時価総額 |
売り方(説得材料) | ・導入(購入)メリット ・解決できる課題 ・過去実績 ・合理的な価格 ・サポート etc | ・プロダクトの解決する課題(提供する価値) ・将来的な成長 ・成長余地の大きさ ・成長を実現できるチーム ・合理的な価格 |
ざっくり比較すると、基本エクイティファイナンスが企業自体を相手に理解してもらって、企業の一部(株式という形で)を購入してもらう行為であり、一般的な商品販売と本質は変わらないと思いませんか?
エクイティファイナンスにもマーケティング視点は絶対に必要
この前聞いた言葉で、以下のようなものがありました。エクイティファイナンスを自社株式の販売という視点で考えるとどう思いますか?

VCもCVCも誰も資金調達引き受けてくれないんだよねぇ
うちのプロダクトすげぇ革新的でいいんだけど、なんであいつらわかってくれねぇんだ

・・・・
また、別の日は。

valuation高いっていうけど、俺の考えている将来ヴィジョン見てなんでそんなことが言えるかねぇ
わかってないなぁ

・・・・
まだまだ、まだまだ、まだまだ。。。何個でも言われておいってなるセリフを聞くのですが、大体私は一旦フリーズします。上のセリフ(1つ目)をちょっと視点を変えて、一般の商品販売と思ってやりとりを作るとこうなりませんか?

お客誰も商品買ってくんないんだよ
すげぇ革新的でいいプロダクトなのに、なんでわかってくんないんだ
これだと、普通の人こんな返しませんか?

・プロダクトの良さが伝わってないんじゃないの?
・顧客の解決したい課題にマッチしてないんじゃない?プロダクトピボットしたら?
・販売価格それでいいの?高くない?コストメリットなさそうだよね?
・革新的だから売れるわけじゃなくない?必要とされてる?
おんなじことがエクイティファイナンスにも当然言えるはずですよね?
相手が価値を理解して欲しい(買いたい)と思う状態を作り出すことが、マーケティング及びセールスの基本だと思ってます。エクイティファイナンスにはなぜその視点がないんですか? 当然あるべきですよね。
エクイティファイナンスを事務処理型の管理部門が請け負う功罪
財務(トレジャリー)をする人間が基本的にエクイティファイナンスも主導するケースが多いのですが、エクイティファイナンスを自社の販売行為と定義すると、実はその人選って正しくないと思いませんか?
一般の商品販売よりも説得要素が複雑化しているエクイティファイナンスを、日頃マーケティングやセールス的な視点の不足した人間が主導することは個人的には失敗に導きやすくなるケースだと思ってます。
個人的に成功すると思うCFO像
CFOの仕事はもちろんエクイティファイナンスだけではありませんが、ことエクイティファイナンスに絞って成功すると思えるCFO像は基本的には以下です。
要は、自社をちゃんと売り込める人だと思います。売るって難しい行為ですし、その売る対象がプロダクトじゃなくて、より複雑化した企業という単位になっても売れる人って、実は日頃数字だけいじってたり、管理体制だけ考えている人ではないことが自明になりませんか。
売る相手の属性や欲しいものが把握できて、そこに自社が適合できる形で推進することが、良くも悪くもエクイティファイナンスもビジネス行為である以上、必要だと思います。
ここは自動化でも効率化でもなく、頭を働かせる部分です。そのための時間を捻出するために、自動化や効率化は積極的に使うべきだと思います。
まとめ
とりあえずまずは大枠としてのエクイティファイナンスに対する個人的な考え方や思いを述べてきました。
次回以降(ちょっとblogの本質とはずれるのでいつ更新するかは未定)で、IPOプロジェクトや短期目線でないエクイティストーリーの重要性も個人的目線で書いていきたいと思います。
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