スタートアップの役員報酬について考える〜その2 職務と報酬〜

スタートアップ 経営管理
Startup with young man in the night
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さて、前回スタートアップの役員報酬のよくあるテーブルや2019年IPO企業の平均報酬額などをまとめてみました。みていない方は、以下をどうぞ。

今回はスタートアップで設定される役職とそのメジャーなタスクを分解して、報酬設計の方法を考えるにおいての参考になる要素を洗い出してみます。

ざっくり報酬を決めるのではなく、ロジカルに役員報酬を設定しようとした場合、どうしても期待する役割とその成果(OKR的なものやKPI的な考え方で)で分解する必要が基本的には発生しますので。

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スタートアップでよくあるポジションと基本的な役割は?

もちろんステージに応じて、置かれているCXO職(執行役員CXO職もありますが、取締役を前提に話を進めます)は異なりますが、一般的によくあるCXO職は以下になるかと思います。

CXO職           役割など
CEO最高経営責任者。多くは創業者。経営全般に責任をもつ
CTO最高技術責任者。テック系のスタートアップには基本置かれる。エンジニアトップ(技術力がトップという意味ではなく、技術チームのトップとしてビジネスサイドと連携する)
COO最高執行責任者。運営部門トップ。CTOと連携して、Bizサイドの実現したいことを押し進める。KPI管理等も行う(この頃はCFO/COOみたいな人もいるし、CEO/COOみたいな人もいる)
CFO最高財務責任者。本来は管理部門トップではなく、財務戦略のトップだけど、日本だと管理部門トップみたいなイメージ。本来は企業価値向上のための施策に注力する人
CMO最高マーケティング責任者。マーケティングのトップ。置かれていない組織もまだまだある。SEO的なデジタルなものから、ブランディング的なマーケティング要素もカバー。プロダクトやコーポレートの見え方・見せ方を考える。
CHRO最高人事責任者。この頃増えてきた役職。採用や人材育成を管轄。

それぞれ全てのCXO職が期待される役割を当然有していますが、CEOが全部っていうフワッとしたものに対して、その他のCXO職は多くはファンクショナルな役割がある程度見えています。もちろん他のファンクションと連携しながら実施すること(採用・スタッフモチベーション管理・新規事業など)も当然あります。

自己のファンクションだけにとらわれているスタートアップCXO職はあまりいないと思いますが、業歴が長くて各セクショントップにCXOって名前をつけただけの会社だと、まだまだいるかもですね。

とりあえずCEOから考えてみる

期待される役割

一番フワッとして、逆に全ての責任をおうCEOという職について、そもそも期待される役割はなんなんでしょうか?当然これもステージによって異なってくるかと思います。

ステージ期待される役割
〜 シード事業検証・企業価値立証
シード 〜 シリーズA事業立ち上げ
シリーズA 〜事業拡大・企業価値向上
B・C以降事業拡大・企業価値向上・企業拡大・ミッション

ラウンドが若いほど事業として成り立つのかの検証・実行が多く、順に企業価値や事業の拡大によっていき、ある程度大きくなると単一プロダクトでは成長限界が見えてきてセカンドプロダクトの検討が再度含まれてくるイメージでしょうか。

もちろん対象とするマーケットの規模(TAM)によっても異なりますが、TAMがデカくても実は単一プロダクトでは攻略が難しいケースはB2Bでは多々ありますし、そういう意味では全くの飛地ではなくても周辺の新規事業・新規プロダクトは各社常に考えているところかと思います。

また、多くのスタートアップは自社のMission/Valueなどを定義しており、これの実現のためにはCEO自体がそれにコミットしていることが少なくとも必要だと言えます。その部分をシリーズAやB以降では評価に入れていく(自己設定目標の実現・実行力)ことも、一案だと思います。

役割を指標に分解してみる

では、今まで出てきた役割を関連指標に落とし込んでみます。

関連指標に落とし込む場合、基本的な方法は当該役割を実行・達成した場合、相関して変動する要素を指標として選択する、ことがベースになるかと思います。要は因果関係の構築です。

もちろん経営的要素は複雑系なので、単一の要素や因果で説明できるわけではないと思いますが、説明できないっていうと何も始まらないので、まずは始めるために自分たちで要素分解をしていく必要があります。

役割関連指標
事業検証ユーザ数、Positiv feedback数
事業立ち上げ課金ユーザ数、課金到達率、リテンション率
事業拡大MRR/ARR、TAM(※)、ユーザ数
企業価値向上時価総額
ミッション各社のミッションによる

その他に以下のようなものも、スタートアップのステージを上げていくために、必要と言われています。

500作成 startup saas funding napkin

チーム構成だったり、競合優位性・TAM等も指標になっています。これもあくまでも参考用の資料ですが、まぁMRR・TAM・ユーザ関係指標以外はどうしても定性的な分析になってしまいますが、関連指標を検討する際には頭の片隅に入れておいてもいいと思います。

また、時価総額の増加については、基本privateラウンド属するスタートアップの場合毎年調達するのでなければ、上のような次のステージに上がれるマイルストーンをCEOのTASKに含めて実行体制を構築できたら評価するっていうのもてかと思います。

実際に想定されるパターン

ここは、特定の会社の例示を出すわけではないので、あくまで基本設計の概念イメージみたいなものとして読んでみてください。

報酬額 = 基本報酬 ✖️ 関連指標 (✖️ 関連指標・・・)

要はベースを作ってそこに関連指標を1つ or 複数個関連させて評価指標にするというイメージです。

基本報酬についての考え方

基本報酬はどう置くのがいいのでしょうか?何個かパターンはあるかと思います。

・同業他社の想定額→探すの難しい。。
・前年金額→最初決めるときどうしよう。。
・従業員給与のトップ層と同等→現実的
・MRRの○%→合理的だけど、過去指標に依存することと、関連指標と重複する可能性

まぁここの設計は正直何が正解というのもないです。従業員に高い給与を見せたい(見せることによってモチベーションを上げたい)という人もいますが、別に社長が最も高い給与じゃなければいけない理由はないですし。他方で、低すぎても”貧すれば鈍する”になりかねません。

個人的には創業者であっても、会社としては1メンバーなので、従業員給与のトップ層と連動させるのがベターかなぁとは思っています。それをやると突出した給与にはなりませんが、創業者は基本生株で会社の成長のリターンを得られる立場にいるというメリットもあるので。ゴールしていない段階でどこまで自分の給与に振り向けるかは自分で考えるところかなぁと。

関連指標について

掛け合わせる関連指標ですが、普通は複数個当該期間の目標と連動させて設定するのがイメージしやすいかと思います。一つ一つの指標に達成度合い等で係数をつけて、掛け合わせていく形です。

なお、要素を3つにして、各0.8~1.2とかにすると、基本✖️0.5~1.7くらいまで変動します。0.7~1.3にすると、0.3~2.2くらいまで変動します。

どこまでドラスティックに設計するかは、他の役員との合意とかもへながら設計する部分でしょう。それぞれ、役員ごとに給与に対する考え方も異なるでしょうから。

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