さて、前回は月次決算の必要性と、安定化・早期化のための業務設計や改善方法のイメージを解説してきました。
ご確認されたい方は、以下の記事をご確認ください。
月次決算作業の安定化・早期化のために必要だと思うことは、前回の記事にも書いた通り、以下だと思っています。
- 現状のタスクを洗い出して各タスクごとの期限を設定する
- 実際の月次決算をやってみて、期限の達成状況と関連情報をシートにまとめる
- 振り返りを行い、翌月のタスクリストアップとスケジュールを決める
もちろん担当者の能力だとか、業務の煩雑性だとか他にも考慮する要素があると言われれば、そうかもしれませんが、基本は”資料提出者の協力態勢”と”ルーチンワークへの慣れ”の2点が最もKSFだと思います。
担当者の能力は正直突発事象が起きた場合の対応力に現れる部分でもあり、何もイレギュラーが起きない月次決算体制を構築する方が優先度は高いと思います。それが仕組み化と言われる部分ですし。
どんな管理ツール(スプレッドシート)を作るべき?
まぁあくまで個人的によく使っていたやつのシンプル版を提示してみます。これが100点でもないですし、連結の有る無しやもっと小さなPJ単位など色々パターンはあると思います。
【月次タスク管理用SS】

【振り返りシート】

【月次タスク管理用SS】の説明
さて、まずは月次タスク管理SSの内容説明です。

A列:タスクID
B列:対応勘定科目
C列:タスク内容
D列:推定所要営業日数(WD)
E列:締め日(予定)、自動計算 Workday関数
F列:締め日(実績)
G列:担当者名
H列:関連部署、仕訳起票に必要な元データを作成する部署(etc請求書の発行だったら、営業)
I列:振り返り(資料収集)、資料収集で起きた問題点やその他情報(提出元セクションの担当者等)
J列:振り返り(作業実行)、自己作業に関する振り返り
なぜ一覧表にして担当者名を入れるのか?

担当者名とか関連部署っているの?別に自分のタスクだけわかってればよくない?

前回も述べたんですが、月次決算ってみんなの協力なしには成り立たないタスクなんですよ。経理作業ってほとんど自分でデータを作るってよりかは、他セクションが作った元データを仕訳の形に落とすのが基本です。
また、一覧にして担当者名を入れるのは、可視化の一環です。誰が遅いってのを見る物って考えてしまうかもしれませんが、業務分担的に遅くなるボトルネックがあるのであれば役割を再配分することも必要ですよね。
誰がなんのタスクを受け持っているか把握することがとても大切です。こんなパターンみたことありませんか?
・特定の担当者の作業がボトルネックになっているなぁ
・あいつの作業が終わらないから、俺の作業始められないまま遅れたぞ、今月も。。
・特定の担当者がデータ提出元といつも揉めてるなぁ
・あいつこの日だけいつも残業してるなぁなんでだ?
どの締め日のタスクをいくつぐらい担当者が保持しているか、また担当者と折り合いの悪い他セクション担当者がいてタスクが止まっていないか、など、ボリュームと関係性を可視化することで改善するポイントを探り出します。
もちろん、資料は綺麗に出てきてるのに、個人がサボったりするのは論外になりますが、特定の日に特定の担当者がいないと作業が進まないという事実も浮き彫りになったりします。
タスクをベースにカレンダーで参加不要な会議などが設定されていないか確認したりもします。
【振り返りシート】の説明
次に振り返りシートの説明です。

全体タスクの中で何個が納期内に終わったか、逆に終わらなかったタスクがどの程度あったかをまとめます。
そして、要因を”振り返り:資料収集”と”振り返り:作業実行”から抽出します。
次月への対策って何を考えればいいの?

対策って結局頑張れってなるか、他責して終わっちゃうんだけど。。

そういうコメントが出るってことは他責しても物事は進まないことは認識のようですねw
早期化という観点だと、結局は以下の2つを考えられるかが肝になると思いますので、参考にしてみてください。
・不要なタスクはないか(その日にやる意味がないタスク、そもそもやる意味が薄いタスク、その人がやらなくてもいいタスクetc)
・事前に処理できるタスクはないか
Manager職の1番の腕の見せ所は、予見と改善策の立案(業務自体の再設計を含む)かな、と思っています。
そして、改善策の立案は、かなり経験値や感性に依拠するタスクでもあったりします。予見はそれこそもっとそうです。
じゃぁ初めてManagerを任せられた人はできなくて当たり前なのかというと、そうもいってられません。そこで役に立つのがフレームワークと言われるような考え方の大枠でしょうか。
フレームワークって仰々しくいうと、なんか戦略コンサルとかが使うような、ああだこうだ・・・ってなりそうですが、実際そんなことはなく、ちょっとした物の見方だと個人的には思っています。
まとめ
さて、今回はこんな管理用ツールっていうイメージと、なぜそのような要素を入れているかを説明してきました。
改善策を考えることや、そもそもの原因を適切に認識して(これが実は難しいんですよw)進めていきましょう。
改善策は、”不要タスクの洗い出し”と”タスクの事前処理”の2つの要素から見つけ出せないか、考えてみてください。