読んで欲しい人
- SaaS事業に絡む管理部門
- これからSaaS事業始めたい方
- ベンチャー界隈
記事化した理由
ベンチャー界隈はSaaS事業が増えているのは周知の事実なんですが、その結果聞かれる質問も事業運営を除けば定型化しつつあり、今回の記事を書いてます。あと、印紙税ってカテゴリは税理士に聞けばいいやって言っても、なぜか税理士がなかなか教えてくれない(っていうか、専門外にしてる方も多く、あんまり答えてくれないだけかも)ので、あってるか間違ってるかの保証はしませんが、あくまで個人の見解を記載していきます。
そもそも印紙税って?
印紙税(いんしぜい)は、印紙税法(昭和42年5月31日法律第23号)に基づき、課税物件に該当する一定の文書(課税文書)に対して課される日本の税金。
wikipedia
印紙税の説明文、wikipediaから引っ張ってきましたが、まぁちょいわかりにくい。。
簡単に言っちゃえば、対象となる契約等(説明文でいう課税文書が適切な表現ですが、わかりやすくするため以下でも契約等としています)を結んだ場合は、収入印紙を貼ってねって形の法律です。
印紙税って何が対象となるの?
対象となる契約等の一覧は以下のURLからDLできます。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf
号 | 文書の種類 | 印紙税額(1通又は1冊につき) |
---|---|---|
1 | [不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書] 不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など (注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。 [地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書] 土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など [消費貸借に関する契約書] 金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など [運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)] 運送契約書、貨物運送引受書など (注) 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び送り状は含まれません。 | 記載された契約金額が 1万円未満 非課税 1万円以上10万円以下 200円 10万円を超え50万円以下 400円 50万円を超え100万円以下 1千円 100万円を超え500万円以下 2千円 500万円を超え1千万円以下 1万円 1千万円を超え5千万円以下 2万円 5千万円を超え1億円以下 6万円 1億円を超え5億円以下 10万円 5億円を超え10億円以下 20万円 10億円を超え50億円以下 40万円 50億円を超えるもの 60万円 契約金額の記載のないもの 200円 (注) 平成9年4月1日から令和2年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減があります |
2 | [請負に関する契約書] 工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など (注) 請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。 | 記載された契約金額が 1万円未満 非課税 1万円以上100万円以下 200円 100万円を超え200万円以下 400円 200万円を超え300万円以下 1千円 300万円を超え500万円以下 2千円 500万円を超え1千万円以下 1万円 1千万円を超え5千万円以下 2万円 5千万円を超え1億円以下 6万円 1億円を超え5億円以下 10万円 5億円を超え10億円以下 20万円 10億円を超え50億円以下 40万円50億円を超えるもの 60万円 契約金額の記載のないもの 200円 (注) 平成9年4月1日から令和2年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減があります |
3 | [約束手形又は為替手形] (注)1 手形金額の記載のない手形は非課税となりますが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。 (注)2 振出人の署名のない白地手形(手形金額の記載のないものは除きます。)で、引受人やその他の手形当事者の署名のあるものは引受人やその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。 (注)3 手形の複本又は謄本は非課税です。 | ベンチャーで手形とかほとんど使わないので記載Pass |
4 | [株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券] (注) 出資証券には、投資証券を含みます。 | 記載された券面金額が 500万円以下 200円 500万円を超え1千万円以下 1千円 1千万円を超え5千万円以下 2千円 5千万円を超え1億円以下 1万円 1億円を超えるもの 2万円( 注) 株券については、1株当たりの払込金額に株数を掛けた金額を券面金額とします。 ※ なお、払込金額が無い場合にあっては、資本金の額及び資本準備金の額の合計額を発行済株式(当該発行する株式を含む)の総数で割った金額に株数をかけた金額を券面金額とします。 (非課税文書:1.日本銀行その他特定の法人の作成する出資証券2.譲渡が禁止されている特定の受益証券3.一定の要件を満たしている額面株式の株券の無効手続に伴い新たに作成する株券) |
5号〜20号については、一覧をご参照ください。
ベンチャーに関係ないものも多いのであまり、見慣れることのない一覧かと思います。
増資や定款変更時に印紙を貼るのはよくやるケースですよね。トピック的なものはつどつど確認すればいいだけですが、まぁ増資や定款関係くらいしか絡まないかな。それも司法書士がだいたい把握してるので、自分で手続きするって人以外は気にしなくてもいいかも。
結局SaaS系のベンチャーではどの契約に印紙を貼るの?
この先はSaaS系ベンチャーの売上サイドベースに話していきます。調達側(支払サイド)は相手側に確認してください。
ぶっちゃければ、ほとんどの取引で基本印紙税を貼る必要はありません。なぜなら、SaaSの基本取引形態は、サービスの使用許諾(使ってもらうことを許可する形)なので、該当するケースがないからです。
【課税対象にならないと考えるケース】
- サービス利用規約等(利用許諾・使用許諾になる)
- サポート契約(基本準委任になる)
- 初期導入コスト(これも基本準委任になるケースが多い、設定サポート等)
ただ、以下の取引の時だけは印紙を貼る必要があると考えています。
【課税対象になると考えるケース】
・客先専用にカスタマイズをして、カスタマイズ製作費用を請求する場合(請負になるため、2号文書に該当)
・enterprise契約で、取引基本契約書を締結する場合(7号文書に該当する)
まとめ
管理部門にいるとちょっとした疑問が多くなりますね。大概は専門家に聞けば解決するものも多いのですが、たまに答えてくれないものもあるので、ざっくりと自分で把握しておいて、本当に迷ったら聞くって形にしておくと作業効率落とさずに進むかなと思います。
今後も、消費税や源泉徴収税等で日頃ちょっとつまづきそうなものを何個か時間があるときにアップしようかなと思います。
いつか、暇があれば事業運営(組織構築、評価、営業Manage、マーケ、etc)の領域も色々まとめたいですが、世の中にはいいNote記事やMedium記事あるので、後回しかなぁとも。