【Gemini×スプレッドシート】経理の使い方|AI関数で摘要分類と集計を時短

スプレッドシート
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経理の現場では、スプレッドシートでの作業が毎月のように発生します。摘要欄を見ながら勘定科目を振り分けたり、取引先名の表記ゆれを直したり、壊れた数式の原因を探したりと、地味ですが時間のかかる作業が少なくありません。

Googleスプレッドシートには「Gemini in Sheets」と呼ばれる生成AI機能が組み込まれています。2026年はシート全体の作成・編集、セルの自動入力、数式エラーの修正支援などが相次いで追加され、6月には日本語での操作にも対応しました。

この記事では、GeminiとGoogleスプレッドシートを経理業務で使う具体的な方法を整理します。AI関数(=AI)による摘要の分類、Fill with Geminiによる名寄せ、サイドパネルでの集計表づくり、数式エラーの修正までを、コピペで使えるプロンプト例つきで解説します。対象は、Google Workspaceを導入済みの会社で経理・財務を担当している方、またはそのチームの管理職の方です。

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Gemini in Sheets(スプレッドシートのGemini)で経理ができること

まず、スプレッドシートに組み込まれたGeminiの主な機能を整理します。ここでの情報は、執筆時点(2026年10月)のGoogle Workspace公式ブログとヘルプに基づいています。

機能概要経理での使いどころ
AI関数(=AI)セルにプロンプトを書き、文章生成・要約・分類を行う関数摘要からの勘定科目候補の判定、問い合わせメモの要約
Fill with Gemini入力済みのセルを手本に、空欄を推測して埋める機能取引先名の正式名称化、部門コードの付与
サイドパネルでの作成・編集自然文の指示で表・ピボットテーブル・グラフ・数式を組み立てる機能部門別費用集計、月次推移表、ダッシュボードの下書き
数式エラーの修正支援エラーの原因を平易な言葉で説明し、修正案を示す機能引き継いだ集計シートの#N/Aや#REF!の解消

公式ブログによると、シートの作成・編集機能は2026年4月に英語で提供が始まり、6月18日付けの発表で日本語を含む28言語に拡大されました。AI関数とFill with Geminiも日本語に対応しています。一方、数式エラー修正支援の発表(2026年6月22日から順次展開)では対応言語が明記されていません。自社環境で表示されるかを確認してから業務に組み込むのが安全です。

利用できるプラン

公式発表では、Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plusなどが対象プランとして挙げられています。個人向けではGoogle AI ProとUltraが対象です。また、管理者がGeminiやWorkspaceのスマート機能を無効にしていると表示されません。2026年7月15日以降はユーザーごとの利用上限が適用されるため、大量処理の前には上限の考え方もヘルプで確認しておきましょう。

AI関数で摘要から勘定科目候補を分類する方法

経理で最も効果を感じやすいのが、AI関数(=AI)です。通常の関数と同じようにセルへ入力でき、指定した範囲のデータをもとに結果を返します。構文は次のとおりです。

=AI("プロンプト", [対象範囲])

例えば、カード明細や経費データの摘要がB列に入っているとします。C列に勘定科目の候補を出したい場合は、次のように書きます。

=AI("次の摘要に最も当てはまる勘定科目を、旅費交通費・会議費・交際費・消耗品費・通信費・支払手数料・その他の中から1つだけ選び、科目名のみ返してください。判断できない場合は「要確認」と返してください。", B2)

ポイントは、選択肢を自社の勘定科目に限定し、迷った場合の返し方を指定することです。選択肢を与えないと、存在しない科目名や長い説明文が返ってきて、後工程の集計で扱いにくくなります。

AI関数で処理するときの手順

  1. 元データのシートをコピーし、作業用シートを作る(元データは直接触らない)
  2. 摘要列の右に「AI候補」列と「担当者確認」列を追加する
  3. 先頭行に=AI関数を入力し、10行程度で結果を確認してプロンプトを調整する
  4. 問題なければ下の行へコピーし、生成を実行する
  5. 「要確認」と出た行、金額の大きい行を優先して担当者が目視で確認する
  6. 確定した科目を「担当者確認」列に入力し、会計ソフトへの取込データに使う

AI関数の制約を理解しておく

ヘルプによると、AI関数には実務で押さえておくべき制約がいくつかあります。1回の実行で生成されるのは選択した最初の350セルまでです。また、IF関数の中にAI関数を入れるような入れ子の使い方はサポートされていません。

さらに、AI関数はシート全体や他のファイルを自動で読むわけではありません。判断に必要な情報は、範囲指定で明示的に渡す必要があります。元データを変えても自動で再計算されない場合があるため、「いつ再生成したか」を担当者が管理しましょう。

Fill with Geminiで取引先名の表記ゆれを整える

Fill with Geminiは、入力済みのセルを手本にして空欄を推測して埋める機能です。列に1つ以上入力済みのセルがあれば、フィルハンドル(セル右下の小さな四角)をドラッグして残りを埋められます。空の範囲を選んで「Fill」を押し、プロンプトで指示することも可能です。

経理での典型例は、銀行明細のカナ名義から取引先の正式名称を補う作業です。例えば次のような表を想定します。

振込名義(A列)取引先正式名称(B列)
カ)サンプルショウジ株式会社サンプル商事(手入力)
サンプルシヨウジ(カ(Geminiが補完)
ユ)テストブツリュウ(Geminiが補完)

手本を2〜3行入力しておくと、法人格の略称や小書き文字のゆれを踏まえた補完が期待できます。ただし、推測で埋めているだけなので、取引先マスタとの照合は欠かせません。補完した名称をVLOOKUPやXLOOKUPで取引先マスタに当て、一致しない行だけを人が確認する運用にすると、確認の手間を絞れます。

名寄せの考え方は、入金消込の自動化でも同じです。より大量のデータを毎日処理したい場合は、ワークフローツールで仕組み化する方法も検討してください。

サイドパネルで経理の集計表を作り、数式エラーも直す使い方

スプレッドシート右上のGeminiアイコンを開くと、サイドパネルで自然文の指示が出せます。公式ブログによると、Geminiは指示を受けるとまず作業計画を提示し、利用者が承認してから表の作成や編集を進めます。テーブル、ピボットテーブル、グラフ、数式などを組み合わせて処理してくれます。

経理向けプロンプト例

次のプロンプトは、仕訳データや経費データのシートを開いた状態で使うことを想定しています。列名は自社のデータに合わせて書き換えてください。

【部門別・科目別の費用集計】
このシートの「計上日」「部門」「勘定科目」「金額」列を使い、
2026年4月〜9月の部門×勘定科目のピボットテーブルを新しいシートに作成してください。
行は勘定科目、列は部門、値は金額の合計にしてください。
最後の列に科目ごとの合計、最後の行に部門ごとの合計を入れてください。
【月次推移と前年同月比】
「月」「勘定科目」「当年金額」「前年金額」列から、
科目別の月次推移表を作り、前年同月比(%)の列を追加してください。
前年金額が0の場合は比率を空欄にしてください。
前年同月比が±20%を超えるセルが分かるように、条件付き書式を設定してください。
【計画の確認用】
作業を始める前に、使う列名・作成するシート名・
使う関数を箇条書きで示し、私の承認を待ってください。

3つ目のように、作業計画を明示させる一文を加えるのがおすすめです。どの列を集計に使うのかを事前に確認でき、意図しない列を合計してしまうミスを防げます。

結果の検証は必ず人が行う

Geminiが作った集計表は、元データの合計と一致しているかを必ず確かめてください。具体的には、SUM関数で元データの金額合計を出し、ピボットの総合計と一致するかを照合します。部門や科目の空欄行、マイナス金額の扱いなど、前提の違いで差が出ることがあるためです。

数式エラーの修正支援で引き継ぎシートを直す

前任者から引き継いだ集計シートで、#N/Aや#REF!が大量に出て困った経験はないでしょうか。2026年6月に発表された機能では、Geminiがエラーの原因を平易な言葉で説明し、修正した数式を提案してくれます。

経理で使うときのチェックリストは次のとおりです。

  • 修正前の数式を別のセルやメモに残しておく
  • 提案された数式が、どの範囲を参照しているかを確認する
  • #N/Aを空欄で隠す修正(IFERRORで握りつぶす等)になっていないかを見る
  • 修正後の合計値が、試算表や会計ソフトの数値と一致するかを照合する
  • 重要な数式は、修正内容をシート内の注記に残す

特に注意したいのが、エラーを表示させないだけの修正です。VLOOKUPの検索値が見つからない原因は、取引先コードの全角・半角の違いなどデータ側にあることも多いものです。エラーを消すことと、正しい数値にすることは別物だと意識しておきましょう。

Gemini活用の導入時の注意点・リスク

スプレッドシートのGeminiは手軽に使える分、ルールを決めずに広がりやすい機能です。経理として押さえておきたい論点を整理します。

情報管理と学習利用

Googleのプライバシーハブでは、Workspaceの顧客データを、顧客の事前の許可や指示なくモデルの学習に使わない旨が説明されています。また、Geminiは利用者がアクセス権を持つ情報にしか触れない設計です。とはいえ、社内規程で生成AIへの入力範囲を定めている会社も多いはずです。個人の給与データやマイナンバーなど、特に機微な情報を扱うシートでの利用可否は、事前に情報システム部門と決めておきましょう。

誤りの可能性(ハルシネーション)

Googleのヘルプでも、AI関数の出力は不正確な場合があり、専門的な助言として依存しないよう注意喚起されています。勘定科目の判定や税区分の判断は、最終的に担当者が確定する前提で運用します。消費税区分や交際費の判定など税務に影響するものは、AIの結果をそのまま会計ソフトに取り込まないことが大切です。

証跡と権限管理

ヘルプによると、AI関数で生成された内容は版の履歴で利用者の操作として記録されます。つまり、AIが出した値であっても、責任は入力した担当者にあると考えるべきです。どの列がAI出力で、どの列が人の確定値なのかを列名で区別し、確定後は値貼り付けで固定する運用をおすすめします。

よくある質問(FAQ)

無料のGoogleアカウントでもAI関数は使えますか?

執筆時点(2026年10月)の公式発表では、AI関数などの対象は、Business Standard/PlusやEnterprise Standard/Plusなどの法人プラン、個人向けのGoogle AI Pro/Ultraなどとされています。対象プランでも、管理者の設定でスマート機能が無効になっていると使えません。表示されない場合は、プランと管理コンソールの設定を情報システム部門に確認してください。最新の対象プランは公式ヘルプをご確認ください。

GASからGemini APIを呼ぶ方法とは何が違いますか?

AI関数やサイドパネルは、プログラミングなしでその場ですぐ試せるのが利点です。一方で、1回あたりの処理件数や利用上限があり、定時の自動実行には向きません。毎月数千行を決まった手順で処理したい場合は、GASからAPIを呼び出す方法やワークフローツールのほうが適しています。まずAI関数でプロンプトを磨き、効果が確認できたら自動化に移すという段階的な進め方が現実的です。

ExcelのCopilotやClaude for Excelと比べてどちらを使うべきですか?

基本的には、会社で普段使っている表計算ソフトに合わせるのが近道です。Google Workspace中心ならGemini、Microsoft 365中心ならExcel側のAI機能を選ぶと、データの持ち出しや権限管理を増やさずに済みます。どちらも機能追加が頻繁なため、導入前に自社のプランで使える機能を公式情報で確認し、小さな業務で試してから広げることをおすすめします。

まとめ:Gemini×スプレッドシートは経理の「下ごしらえ」から始めよう

Googleスプレッドシートに組み込まれたGeminiを使うと、摘要の分類、取引先名の名寄せ、集計表の作成、数式エラーの修正といった経理の下ごしらえ作業を効率化できます。2026年には日本語対応も進み、非エンジニアの経理担当者でも試しやすい環境が整ってきました。

一方で、AIの出力は誤りを含む可能性があり、税務や決算数値に関わる判断は人が確定する必要があります。AI出力の列と確定値の列を分け、合計値の照合を習慣にすることが、安全に使いこなすコツです。

次のアクションとして、まずは先月分の経費データをコピーし、AI関数で勘定科目候補を出してみてください。人が付けた科目と比べて一致率を確かめると、自社業務での使いどころが具体的に見えてきます。

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参考リンク

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