読んで欲しい人
- 管理体制を一から構築するベンチャーCEO、CFO
- 他社のシステム構成を知りたいベンチャーCFO
- SaaS化したいと思っている中小企業管理部門担当者
学べること・知れること
- 実例を元に実際にベンチャー企業で採用されているSaaSを主体とした管理系体制の構築方法
- なぜこれを選んでいるのかの私見
- 使ったことのないSaaSが見つかる(かも)
Case: Wantedlyの経営管理システム&フロー

さて、第1回は管理部人数片手以内という非常に少人数で上場まで行き着いたWantedlyのケースを取り上げます。こちらのデータはWantedly CFOの吉田さんが、Wantedlyの記事内で紹介されていたものを引用しております。いろんなSaaS使ってますね、少しずつ見ていきます。
メインはMFシリーズ
メインとなりやすい会計システムにはMFクラウドを採用されているので、経費や労務・給与計算周りもMFシリーズが使われています。
MFシリーズはシリーズ内での連携が可能ですので、メインをMFにしたら経費や給与も一緒に入れるのはいいことだなと思います。ただ、MFにはAPIがないので個人的には玉に傷と思ってます。それを超えるメリットがあるということなのでしょう。
要所で出てくるスプレッドシート
とわ言え、SaaSは自分たちでカスタマイズできない部分もありますし、データ連携を円滑にするためにも多くの場面でスプレッドシートが活用されてますね。
昔はこの部分がエクセルだったのでしょうが、スプレッドシートにすることで、GASが利用できデータ連携は非常に楽になるかなと思います。Wantedlyは管理部門の人間が少ないことや、社員自体もそこまで多くないので、スプレッドシートの同時アクセス問題が起きにくい点も、選択としては適切ですね。
Github稟議書・購買申請がありますね
私も多くの会社で利用していますが、稟議や購入申請にGithubを使っている部分も注目です。管理部門はGit関係をあまり利用することがないですし、そもそもエンジニアとの間にツール間での共通性がどうしても薄くなりがちです。コミュニケーションの一端としても、Github稟議書はおすすめです。
SmartHRやジョブカンが支える労務手続き
経理記帳と並行して事務工数の多い、労務人事関係ですが、SmartHR・ジョブカンで効率化を図っているようです。
閻魔様のテレビCMでも有名なSmartHRですが、入退社や社保などの労務手続き効率化には圧倒的ですね。
人を1人置く必要がなくなることもメリットです。昨今は社労士さんもSmartHRに慣れている方も増えてきているので、そことの連携も問題なく進むと思います。余談ですが、SmartHRはeGovで政府がAPIを公開した(と言っても、総務省と厚労省ばかりなのですが)時から、OSSでライブラリを公開されており、個人ベースでも活用させていただいておりました。
入退社以外で頭の痛いもう一つの課題が、勤怠管理でしょう。ここはジョブカンが利用されています。
ベンチャーが上場を目指すに当たって、昨今もっとも問題になりやすい勤務時間管理は早めに手を付ける課題だと思っていますが、そのためにも早めの勤怠管理導入は必須要件かなと思っています。ツールによる性能差は正直あまり感じませんので、なんでもいいかなと思っていたりします。それこそ自作でも。。
この体制で上場を目指す際に起きる問題点
- MF会計は仕訳承認機能がない
- 人数が少ないので、士業を全面的に稼働、作業させている(と思われる)
詳細な中の体制は知りませんが、このケースで上場目指すとすると構成的に上記2つは必ずチェックポイントになるかと思います。MF会計では上場できないと言われていた時期もありましたが、Wantedlyが上場したことで、やっぱりやりようだよね、という話になっています。当たり前ですが、SaaS側の機能で足りないのであれば、add-onするかマニュアル作業を加えることで同様の効果を出すことは普通可能です。
課題 | 対応策 |
MF会計は仕訳承認機能がない | 紙打ち出して、日時でチェックや承認 |
人数が少ないので、士業を全面的に稼働、作業させている(と思われる) | 外注業者の安定性(個人事務所の場合は、相手に法人成りや従業員雇用のリクエスト) |
まとめ
管理部系のタスク効率化SaaSは幅広く業務レンジをカバーしており、それぞれを組み合わせつつ、足りない部分にスプレッドシートやGAS・Pythonで対応することで非常に少人数でも上場可能な管理体制は構築できるといういい事例です。
人を増やすことではなく、少ない人数で以下に外部ツールを使いながら、外部ツールの成長にも期待しながら、組織体制を構築していくというのは、今後当たり前に必要な能力だと考えます。